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[コメント] 化石の森(1936/米)

シリアスドラマとしてよりもコメディ映画として観た方がいいのではないか思ってしまった。
わっこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







逃亡中のギャング団の人質になってしまう人々の人間ドラマ。ほとんどガソリンスタンドの中だけで行われていて舞台に近い感じ。

痴人の愛』の主演コンビレスリー・ハワードベティ・デイビスの息の合った演技ぶりはこの映画でも健在。特にガブリエル役ベティ・デイビスはアランに初めての恋を抱く乙女心を繊細に表現している。アランへの情感を込めた応対やボースへの素っ気ない応対ぶりと親切な応対ぶりをくるくると見せる演技はもう見事という他なし。とても『痴人の愛』で悪女を演じた役者と同じ人物とは思えない。ギャング団のボス、ディック役ハンフリー・ボガートは顔立ちが『マルタの鷹』の時に比べるとかなり若々しく、後年の作品でのかっこよさとは違うかっこよさがあってよかった。

ストーリー的には、前半のあてもなく放浪の旅をしている男アランが道中で偶々寄ったガソリンスタンドの娘ガブリエルに興味を抱き、ガブリエルもアランに恋心を抱くと言うロマンチックな展開から一転して後半はアランたちが逃亡中のギャング団の人質になってしまうという緊迫感のある展開。

しかし、この人質となった人たちのキャラが皆コミカルな設定で、ギャング団のボス、ディックを含めた人質たちのやりとりは観てて完全に笑いの要素しかなく、正直、この映画はサスペンスチックなシリアスドラマとしてよりもコメディ映画として見たほうがいいのではないかと思ってしまった。

最初からコメディ映画と割り切ってみれば人質となったアランたちの会話は観ててとても面白かったし、演じている役者たちもコミカルな役どころに合った演技をしているのでそこそこ楽しめる。

難点としては、アランが自分の保険金をガブリエルに援助するという理由でディックに自分を殺すよう要求するが、その要求がかなり唐突な形で実行されてしまっているので、せっかくのアランの遺志が思ったほど伝わってこなかったのが残念。ディックも抵抗したボーズを撃ち損ねた時にボーズを再び殺さずに手当てするように言ったり、アランの遺志を受け継いだり、人質と気兼ねなく喋ったりとどう見ても人情的なキャラなので、ラストで悪人ぶりを発揮してもどうにもしっくりこなかった。

(評価:★3)

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