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[コメント] 銀幕のメモワール(2001/仏)

シルヴァン役サガモア・ステヴナンは昔の男優の雰囲気を壊さずに演じていて印象的。
わっこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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銀幕のスターの俳優とのひとときの恋愛を描いた映画。

一応戦争によって引き裂かれた二人の男女の悲恋話だが、主人公リザの恋人シルヴァンの出征後の展開は恋愛映画というよりも戦争サスペンス映画のような展開となり緊迫感が増した。特にドイツ軍兵がリザのいる療養所の患者である恋人をスパイとして利用して療養所にいるユダヤ人患者を連行するところやこの患者と親しいリザが彼女に気付かれずに匿っているユダヤ人たちに食料を届けるところの緊迫感を煽る演出はなかなかうまい。

ただ、恋愛映画として観るとやや物足りない映画かもしれない。前半のリザとシルヴァンのロマンスは昔の恋愛映画のような雰囲気をうまく再現していて悪くはないのだが、中盤で出征していたシルヴァンが収容所を脱出してリザと再開してからのストーリー展開は、二人のロマンスがほとんど描かれず、普通に戦争サスペンスになってしまっているため、ラストでシルヴァンが連行されるシーンでの悲壮感が薄い。また、現代のシーンのシルヴァンに関するドキュメンタリーを制作しようとする青年サムと両親のエピソードもこの映画にはあまり必要がない気がする。

映画としては、現代シーンでの登場人物をサムと年老いたリズの二人だけにしぼって、リズの語る話の中でシルヴァンとの過去の恋愛を描いた方がもっと面白くなったように思う。現代シーンでのサムと両親のエピソードに結構焦点を多くあててしまっているのでリズとシルヴァンの恋愛エピソードの印象が少々弱くなってしまった感がある。

役者としてはシルヴァン役サガモア・ステヴナンは昔の男優の雰囲気を壊さずに演じていて印象的だった。若き日のリザ役マリオン・コティヤールは最初は清純でかわいいキャラだったのに、ドイツ軍から匿っているユダヤ人がいることを密告した友人を殺す際に冷酷に顔に枕を押し付けて殺すときの表情はなかなか怖かった。

(評価:★3)

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