向かいのマンションの殺人を目撃した女性のサスペンス映画。

ヒッチコックの『裏窓』や『サイコ』に影響を受けたストーリー展開で、犯行を隠蔽しようとする犯人側と事件を目撃し通報した女性記者の様子を２画面で描く映像展開や終盤に殺人を犯したダニエルの共犯者の医師が催眠療法で双生児の姉妹ドミニクの記憶をグレイスに植えつけるシーンなど、映像表現に監督の拘りが感じられる。

警察に犯行を信じてもらえないグレイスが探偵と協力して真相を探る展開はいいのだが、ミステリーとしてはいかんせん穴がありすぎる気がする。

例えば、ダニエルの犯行を医師が証拠を処分して完全隠蔽を行うシーンがグレイスの通報のタイミングから考えても完了するのが早すぎる点や、後半でダニエルを尾行していたグレイスがダニエルが入った施設が何なのか確認もせずに潜入し、まんまと医師の罠に嵌り、催眠をかけられるシーンなど、突っ込みどころが多い。

ヒッチコックっぽいミステリーの映像を楽しみたい人にはいいが、推理劇としてはキャラの構築がちょっと杜撰だったのが残念。