『シベリア超特急』の続編｡

水野晴郎の演技の下手振りは相変わらずだが､ストーリー展開に関しては今回は真面目に作られていて､クライマックスの意外かつ大胆な殺害トリックといい､ラストのどんでん返しといい､推理映画としては十分通用するレベルに達している｡映像的にもきちんと整合性が取れている｡

役者も今回は淡島千景を始めとしたベテラン俳優を起用したことで､演技には安定感があり､見劣りするところもそれほどなかった｡

そしてラストのどんでん返しも今回はストーリーにちゃんと反映していて意外性があり､映画の雰囲気を壊していない所も好感が持てる｡

純粋に推理映画として評価するとこの映画はそれほどいいものではないのだが､前作を見ていて水野晴郎の作風をある程度理解している上で見ると､映画監督しての水野晴郎の成長振りがうかがえる作品となり､なかなか楽しめた｡ラストも前作同様山下大将の人柄のよさが貫かれているのもいい｡

総評としては前作を見た上で見るのなら､それなりに楽しめる推理映画になっていると思う｡

惜しむらしくは､意図的に入れたと思われるホームビデオカメラの映像が映画の空気を乱していた点｡