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[コメント] ノット・ア・ガール(2002/米)

独りよがり映画の不完全版であることが効を奏した・・・頑張ったんだねタムラ・デイヴィス
tacsas

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ブリトニー・スピアーズをボウリング場のレーザー・ジュークでぐらいでしか見た事のない僕は、冒頭のライク・ア・ヴァージンからヘボプレインルーザージャスティン・ロングとの絡みあたりまでで「とんでもなく場違いな所に来てしまったのではないか」と不安の絶頂に陥る。しかしあるポイントからそれらは懸念であったようだと胸を撫で下ろす。

それはスピアーズの演技力に気をとられ始めたからだ。もちろん特別にウマいわけではない。時に恐ろしい程、ワザとらしかったりもする。しかし子役出身の強みなのかヘタウマの境界線上で、その姿はまるで最強の称号と共に闘っていた頃の高田伸彦の"本当に強いのか度"にも似たヒヤヒヤ感を醸し出し始めるのだ。

そんなことに気を払ううちに別のことが気になり始める。「随分と歌を口ずさむなあ」という点である。本来は歌手であることからファン・サービスを含め当然なのだろうが、これが意外と後々に効いてくるのだ。

一方、話はどんどんと展開し、この作品の肝と思われる男が登場する。裏ぶれ感あるロック好き野性セクシー頑固兄ちゃんだ(名前を調べるのが面倒なんでとりあえずこう呼ぶ)。こいつは作品の鍵となり防波堤となり、そのうち監督自身が持つ意地の塊として昇華していくのだ。個人的にこの映画フェイバリットシーンはこいつが「まだ女の子なの軍団」の会話や緩いポップス三昧に辟易とし、1人勝手にブチ切れまくるシーンだ。ああ、これは本当に好きなシーンである。無差別に草を蹴っとばしまくるなんて、この不器用感。バッチリである。

そして幾つかの緩いシーンを経てブリトニーの拘束時間の短さから強引に盛り込まれた共演の女の子達のエピソード。これがなかなかタフで作品の独りよがり度を若干だが薄める中和剤となりつつ、(といっても励ましのシーンへ向かう際のあざとい優しさには閉口していたが)。単純に歌うと少し嫌味が出るタイプ(しかも、実際そんなにウマいわけではない)な彼女に、しつこいぐらいだけどさりげなくあちこちで歌わせている分、嫌味が消えているのは偶然だとしても良いし、きっとファンも満足できるのだろう。

欲を云えばこのキャストならブリトニー・スピアーズゾーイ・ソルダナが演じているのような高飛車なジョックス役を演らせて、ヘボプレインルーザー「ギャラクエ」ジャスティン・ロングに陥落してしまうような話の方が好みになりそうだと思ったが(と書いたものの・・・これがちょっとのミスでアッという間に『グリッター』になるので要注意)、ジャスティン・ロング腹筋がモナカ状に割れてるんだもんなあ。ガッカリ。

本編とは関係ないが、とりあえずもうこの手のNGシーンには正直ウンザリではある。もう香港版ジャッキー映画以外のNGは本当にいらん!。よっぽど日本向けに意味なく轟二郎のNGシーンでも加えてくれるなら別だが(マイナーかつ古いネタでスマン)怒りついでにこの映画のキャッチコピー「明日はきっと、本当のわたし」ワケ分からん。

劇場の帰り道10代後半ぐらいのカップルの女の方が「あの歌あそこで歌わせるなんて反則だよ」と泣いていたんだが、そういうものなのか?。感受性豊かなのか、もうバカになっちゃってるだけなのか。正直なところ共鳴しようもなく理解不能。

最後に、この作品が新たなブリトニー・スピアーズの魅力を掘り起こしているかといえば・・・んーそのために作ったとしか思えないシーンの見透け度がちょっと高いんだよな。あと可愛いしどこかイヤらしいのは彼女の魅力なんだろうが、ずっと観ているととにかくバタ臭くてクドいのもちょっと気になった。それでも上記の幾つかのポイントを含め、トータルでタムラ・デイヴィスは最低限の仕事をこなした。あのロック好き野性セクシー頑固兄ちゃん(褒めてはいるが名前調べるのはちょっと面倒)も良く頑張った。って俺は何をこんなに正面からムキになって書いてるんでしょう。

(評価:★3)

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