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[コメント] 子連れ狼 その小さき手に(1993/日)

田村正和のための映画。もうちょっと頑張れば・・。
ざいあす

私は時代劇の田村正和が好きだ。

板妻を引き合いに出さなくても、すでに独自の様式美を確立している。 もともと2の線通り越してかなりイッちゃってるキャラの正和サマだが、時代劇では、そのナルちゃんぶりが増幅されて他の追随を許さない。

毎年、年末年始ごろに新橋演舞場で上演される公演ポスターのなんと美しいこと!真っ白な横顔にハラリと前髪がかかる。何度駅や地下街でかっぱらおうと思ったことか・・。

あまり評価されていないが、彼の殺陣の美しさも特筆モノ。 円を描くように淀みなく流れる剣さばきは絶品。実際にこの動きで人を切れるものかどうかは疑問だし、合気道と同様に相手が力んで斬りかかってくれないと決まらない。要するに舞台映え、カメラ映えする殺陣なのである。 また、殺陣の最中に後ろに束ねた髪がヒラリと揺れるのもすんごくソソる。

てなわけで逸れたが、この映画は、小池一夫氏が田村を望んだとはいえ、過去の若山富三郎、テレビの萬屋などの流れからすると外伝的なポジション。 サブタイトル通り、親子の情愛に主眼が置かれているが、子役の演技力も含めて中途半端な感は否めない。柳生烈堂の仲代達矢も相手役として十分な格だが、濃い演技ぶりが、どうも田村と波長が合っていない。 田村の殺陣を活かすには、まず集団で斬りかかって彼を上手に舞わせること。 1対1の場合もやはりシャープな動きが敵方にも必要となる。従って役者の格としてはベテランが良いが殺陣となると動きがイマイチという矛盾が生じる。そういう意味で敵方の頭領・柳生烈堂とのタイマン勝負をクライマックスに持っていったのはちとムリがあった。また悪に徹しきれず人間的なやさしさを見せてしまう烈堂も甘い!

とにかく、そろそろ老いが目立ち始めたマサカズ様の殺陣が堪能できるのも残り少ない・・・。人気があるいまのうちに趣味で映画撮ってくれい。

(評価:★3)

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