何時の頃から、私達は奪うことが血を流すことと引き替えであったことを忘れたのだろう。かつて人が人より豊かであろうとするなら、剣を鞭を振るい暴力的に奪い取るしかなかった。 　その暴力手段の全てをシステムの中にビルトインしてしまった我々は鞭を振るうことなく奴隷を動かし、奪うことを、破壊することを意識せずに奪い破壊する。 欧米日の圧倒的な軍事力と経済力の鉄壁は、奪われ虐げられる者の声をかき消す。死んでいく者の血を透明にする。その結果としての平和、豊かさ、安寧の日々。

　この安寧はしかし、他者を犠牲にした偽りの安寧に過ぎなかった。平和に満ちたそれは血と汗と汚物と憎しみに満ちた戦場の銃後。 　２００１年９月、全てが明らかにされた。

　この作品は豊かさを貪る全ての人々に対する警鐘であり予言であった。