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[コメント] KILLERS(2003/日)

銃が好きじゃなくても充分楽しめます。でも銃を少し知ってると、ますます楽しめる作品。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 大体、オムニバス映画ってのは一本一本が短いのでよほどテーマを明確にしないと良い映画にはなりにくい。実の話、(一本を除き)あんまり期待してなかったりして…

 だけど、杞憂だった。いや、真面目な話でこれ、面白かった。そりゃオムニバスだから今ひとつ。ってのも確かにあったけど、作品一つ一つに銃への愛着が感じられ、そのマニアックさがまず気に入った。

 以下、長くなるのを覚悟して、一本毎レビューを書かせて頂く。

 『PAYOFF』。漫画家のきうちかずひろ氏が作った作品。ハリウッド製アクション作品あたりだと冒頭5分位で終わってしまう物語を、20分以上に渡り、克明に描いた作品で、マニアックな銃の解説や緊張感がとても心地よい(ある程度の銃の知識がないと困るが)。たださて、これからどうなる?と言うところで終わってしまうのがちょっと物足りない感じを受ける。それにこれ、デジタルビデオで撮られているらしいが、兎に角粒子が粗い上にカメラ・ワークがあまり良くない。固定されたカメラ・アングルは良いんだけど、動かすと途端にギクシャク。それがちょっと気になったかな?

 『CANDY』。5本中一番くだらない。ストーリーそのものは確かに映画してるけど、演技がまるで駄目だし、派手にしようと壁に立てかけた酒瓶がバシバシ割れてながら、壁に全く弾着がないとか、銃撃戦が酷すぎ。なんかテレビの『太陽にほえろ』の銃撃戦を彷彿とさせるなあ…と思ったら、この監督、『太陽にほえろ』のシナリオライターだったそうだ。笑ってしまった。

 『PERFECT PARTNER』。5本の中では一番金を遣った作品だけど、銃撃戦やワイアーを使ったアクション・シーンの出来はなかなかのもの。ストーリーはややベタなところもあるけどちゃんと緩急ありの捻りを効かせてるし、終始大阪弁で展開する会話も和める。笑いもあり。監督はメジャー初挑戦だそうだけど、とてもそうは思えないほどの手慣れた作りだった。これからが期待できる監督だ。

 『KILLER IDOL』。無茶苦茶現実離れしたストーリーなんだが、終始笑いっぱなし。この荒唐無稽な設定とキャラクター。よくやったと褒めてやりたいよ。主演も務める監督もこれがメジャーデビューだが、このセンス、好きだなあ。喋り方は一番素人臭いけど(笑)

 『.50WOMAN』。まあ、私にとってはこれが一番のメインだった訳だが、多分5作の中で一番金遣ってない。『裏窓』を思わせるような、ほとんど一室でたった一人のドラマが展開する。贔屓目は確かにあるけど、これはもう大好き!ツボを押さえた笑いと(微妙な間が又上手いこと)、終始無言でひたすら食い続ける主人公が良い。押井監督のギャグって必ず犬と食べ物(それもとても安っぽい奴)が出てくるけど、この短さだからこそ、そのギャグが冴え渡る。敢えて名前は伏せるけど、特別出演が泣かせる。押井守のギャグセンスが好きな人だったら、絶対楽しめること請け合い。

 と、言うことで決して大作とは言えないながら全般的にとても楽しい作りに仕上がっている。充分お勧めできる。

(評価:★4)

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