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[コメント] ファイナル・カウントダウン(1980/米)

根本的な事(そして余計なお世話)を言わせてほしい。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 当時のアメリカ政府上層部は真珠湾攻撃を聞いた時驚喜したそうだ。それまで条約により参加することが出来なかったヨーロッパ戦線に大手を振って参加できるようになるから。あの程度の被害でどかすか兵士を送り込み、“国際法に則って”最初の規模の数百倍を超える被害者を出すのは、アフガニスタンの例を見ても明らか。「リメンバー・パールハーバー」のかけ声で、ハワイなんて行ったこともなく、ましてや日本など何処にあるかも知らないアメリカ人の多くに日本人を憎ませることも出来たし、お陰で原爆も完成させられた。

 …別段これは文句でもなんでもない。国際政治とはいかにクールにやるべきか、そしてクールに徹することが出来なければ生き残れないか。と言うことだけだ。

 もしここに登場する彼らがホットな心を持って日本艦隊を迎撃していたら、ヨーロッパはドイツのものになっていた可能性も捨てられないし、そうでなくともヨーロッパ及びソ連は相当な疲弊状態に置かれていただろう。

 …歴史を変えることが良い結果になるとは限らない。

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 一時期IF戦記という小説のジャンルが日本で流行ったが(何冊か読んだ)、あの手の小説の醍醐味は旧態依然とした敵(小説の場合はアメリカなんだけど)を最新鋭の兵器で粉砕するところにあったと思う。

 本作はその先駆けと言っても良い内容で(当たり前だけど日米が逆転)、ニミッツ級空母の雄志、離着陸するF-14のリアルな描写。そしてこの当時では最新のSFXの用い方など、兵器好きな人間にとっては、設定的には楽しめる内容。零戦とF-14のドッグ・ファイトを楽しみにしていたら、肩すかしにあうが…

 ただ、ストーリーはちょっとしょぼい。歴史を変える可能性への恐れとか、やってしまったことに対する後悔とか、その辺の描写は多少なり描かれているとしても、中途半端。作りようによってはいくらでも緊迫感を演出できたはずだ。最初にブワーッとぶちあげた割りに物語が進むに連れ、スケールが小さくなっていく。最後の「来るぞ来るぞ〜」っと思わせておいてあの展開はガクッとくる。

 …いや、ストーリー的にはあれで良いんだろうね。現実を変えてはならないとしてるんだから。

 私的に“軍服の似合う男No.1”と評価しているカーク=ダグラス(ちょっと歳食ったけど)の勇姿が観られたのは嬉しい。

 あんまり関係ないけど、かなり設定的に似ているかわぐちかいじの漫画「ジパング」は楽しいよ。日本じゃ無理だからハリウッドで映画化してくれないかね?

(評価:★3)

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