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[コメント] クローサー(2004/米)

アメリカで作られたイギリス喜劇…なんでしょうか?実は結構楽しめた自分がいます。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 パトリック=マーバー原作の戯曲の映画化。都会的現代的な恋愛事情が描かれる話で、ここには理想的な意味での「愛」はなく、肉体関係を重ねる事で深まりもし、逆に駄目になっていくという現代的な意味での「愛」が語られているのが特徴だろう。

 物語の設定そのものはまるで90年代の日本のドラマを観ているような物語展開で、特に男女のドロドロした関係を描く物語はとても苦手な私としては、かなりきつい…かと思いきや、思いの外、結構楽しめた自分がいた。

 実は観た直後はその理由はよく分からなかったけど、今にして思うと、色々考えつきはする。

 一つには、本作の男性の描き方。主人公四人の内女優二人はアメリカ出身だけど、ロウであれオーウェンであれイギリス俳優を用いているのが大きかったんじゃないかな?イギリスの恋愛ものというのは、ハリウッド製のベタベタしたものとは異なり、妙に恋愛観や自分自身を突き放したような描写が多用され、「自分はクールに恋愛を楽しんでる」というつもりで、現実にはのめり込んでしまい、その情けなさに気づかされ、それをしみじみ噛みしめるような描写に溢れていて、その諧謔的な部分が妙に気に入ってるんじゃないかと思う(恋愛ものが嫌いだ。と言ってる割にウディ=アレン作品が好きなのはそこにもあるんじゃないかと思ってる)。本作におけるロウやオーウェンは見事にそのイギリス俳優としての役割を果たしていた訳だ。

 特にロウは昔あの無機質っぷりがとにかく気持ち悪くて大嫌いだったはずなのだが、どんどん人間くさく、しかもイギリス俳優特有の好みのキャラへと成長しているのがとても嬉しい…実際「アルフィー」と言われると、マイケル=ケインのはまり役だったはずなのに、いつの間にか私の頭の中ではロウに変わってる。私の好みが変わったのか、ロウが変わったのかは、未だに分からないけど。

 とても乾いた、突き放した恋愛ものを好みな人だったら、楽しめるだろう。

(評価:★3)

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