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[コメント] スパイダーマン3(2007/米)

レッド・アンド・ブルーはアメリカの印。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 本作を通して思うこと。それは妙な不安。と言うより閉塞感を感じてしまう。物語をピーターの内面に持っていくため、爽快感の中にもどこか不安を感じさせるように持っていく。多分これこそが目的なのだろうと思うのだが、その分なんかグワーっと盛り上がった気分にさせてくれないのだ。

 前に『ロッキー・ザ・ファイナル』(2006)で書いたのだが、多分この閉塞感がハリウッドの元気のなさにつながっている気がしてならないのだ。それこそが今のハリウッドのあり方そのものなのだろう。

 特にスパイダーマンの存在というものをアメリカという国そのものに置き換えてみると面白い。そもそもスパイダーマンのコスチュームはご存じの通り赤と青によって構成されている。この二色は国旗で用いられることが多いが、アメリカの国旗も又、その二色がしっかり使われている。強い強いと浮かれているアメリカ。これは実は虚像の強さなのではないか。実際浮かれいるその姿をよく見ろ。真っ黒じゃないか?その警告をも示しているように見える。しかし今こそアメリカは本来の姿。赤と青に彩られた本当の姿に戻らねばならない。と言う意志のようにも思える。最後に国旗をバックに颯爽と飛び立つスパイダーマンの姿は、単に格好良さではなく、そのメッセージを込めているのかも知れない。

 逆に言えば、この作品自体がアメリカが閉塞の中にある。と言うことを前提に作っているかのように思えてならない。考え過ぎかも知れないけど、その辺のメッセージ性を考えてしまうと、なんか素直に楽しむという気分にさせられないのだよな。

(評価:★3)

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