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[コメント] 選挙(2007/日=米)

少なくとも、これを観て立候補したいと思える人間はほとんどいないだろう。振るい分けという意味ではちゃんと意味がある。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 選挙の現実って奴は、本とかでは読んだことがあるけど、現実に立候補した人に密着取材したドキュメンタリーは本邦初。それだけで本作は作った意味があるってものだ。  ドキュメンタリー映画は基本的に監督が中立になることなく、自分の主張を通すためにある。それこそマイケル・ムーアなんかはまさしく自分の主張に溢れたドキュメンタリーを作っているのだが、本作の面白さは、カメラの向こう側、監督の主張というのがあんまり見えてこないところにある。かなりのレベルでフラットな、そして目の前にある現実をちゃんと撮ろうとする。これは面白い。

 しかも淡々としつつ、決して映像の垂れ流しではなく、きちんと編集されており、飽きることなく観られてしまったりする。

 そして一人をひたすら撮影することで、一見華やかに見える選挙戦がどれだけ生々しく、そして候補者自身に負担をかけているか。それが垣間見える。勢いで言ったは良いが、それが個人の資産を食いつぶし、普通の生活をしている家族に激しい負担を強い、そして個人を超えたところの思惑に乗っていかざるを得ない。正直、これは不毛な試みとしか思えない部分が多々…

 これを観て「俺も立候補する!」と思う人はほとんどいないだろう。でも、こんな苦労をしてまでも、やはりやらねばならないと思える人もやっぱり存在するはず。

 もし本作に主張があるとするならば、「日本の民主主義は続いてく」と言う事であり、これを見せられても、まだ政治を作っていこうとする人を応援する。と言う事であろうか。

 そんな意味で、本作は相当に面白い。選挙にちょっと興味ある人だったら、是非観て欲しい一本。

(評価:★4)

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