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[コメント] 荒馬と女(1961/米)

出来は関係なくても、ハリウッドの時代を作った二大スターの遺作として、多分この映画は映画史に残り続けることになるだろう。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ゲーブル、モンローというハリウッドの二大スターを配し、大変気合いの入った作品で見せ場には事欠かず、ストーリーもしっかりしている。

 ただ、ちょっと気になったのは、この作品、あまりにもパターン過ぎやしないか?と言うことだった。

 ここに示される西部の男と気の強い都会の女と言う組み合わせは、ある意味ハリウッド的な典型的なパターンの一つ。乱暴に括るのならば、大体はこれは二つの方向性に別れる。

 一つはコメディ、もしくは冒険譚を基調とする方向性で、最初は反発し合う二人だが、やがて意外に女性が芯の強さを見せ始め、男がそれに感心していき、やがて惹かれていくと言うパターン。これはハリウッド映画の黄金律の一つとも言えるだろう。この場合愛を語るのは一番最後になるから、そこに至るまでにアクションや見せ場が増えるし、色々な要素をぶち込める。

 そしてもう一つはメロドラマを基調とする場合で、これの場合男と女は割合早く結ばれることになり、最初はお互いに協力しあい、愛の力で困難を乗り越えていくが、愛が醒めるに連れ、どうしようもない現実に互いにいらだちを深め、別れてしまうと言うパターン。悲恋に終わる事が多いが、これ又映画では良く使われるパターン。そして多分、本作が後者の代表的一本と言えるだろう。見事なくらいにティピカルにはまっている。

 まさにこの映画はハリウッド的悲恋作品の様式美的作品。あんまりにもひねりがなくストレートすぎる。安心して観ることは出来るけど、この手の作品では衝撃を受ける事はさほどないし、当然ながら本作はそれ以上のものではない。

 モンロー、ゲーブル共にこの作品が遺作となってしまったが、モンローは他の映画と較べて随分演技が良く感じる。彼女の映画の経歴の割にはあんまりにも初々しい感じだが、決して悪い訳じゃない。これは周りをベテランが上手く固めてくれたからだが、これが遺作となったのは少々残念かも。ひょっとすると女優としてもっと優れた才能を発揮していたかもしれないのだから。一方のゲーブルは随分渋くなった。そんな歳じゃなかったと思うのだが、彼も又本作が遺作となった。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)らーふる当番[*]

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