コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] そろばんずく(1986/日)

よく最後まで観られたと思います。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 邦画は長い低迷期に入っていた。1970年代に既存の価値観をぶちこわしまくった日本映画界(決してそれが悪い訳ではない)が、1980年代に入り、新しい価値観を求めていた。

 その中でいくつかの方向性が模索されたが、大きな方向性はいくつかに分かれる。古くから邦画を支えてきた監督達は耽美方向に向かい、新しい監督はインディペンデント系で監督の感性を前面に押し出すパターンと、メジャー系でのキャラクタ重点主義へと向かうパターンに分かれた。とにかく有名人を放り込むことによって、客足を伸ばそうという試みである。その結果、アイドル映画が頻発したのだが、本作もその系統で見ることができるだろう。当時大流行のとんねるずを起用することで、単なるアイドル系の作品に終わることなく、監督の感性を最大限に発揮することが出来たので、ある意味本作は80年代を代表する作品と言うことも出来る。

 ただし、監督の感性を大切にすると言うことは、当然ながらそれに合う人と合わない人がいると言うこと。

 それで私は見事なほどに合わなかった。シュールな展開もどこぞのメーカーのフィーチャーにしか見えないし、物語の展開だって行き当たりばったりが重なっただけ。本当に脚本があったのか?と思えるほど。

 根本的にキャラに全く魅力を感じられないってのが致命的だろう。主人公の三人は遊んでるようにしか見えず、ライバル社も悪辣さが全然ないので、最後までお遊びのまま、なんとなくハッピーエンド。もの凄く居心地が悪い作品だった。

 監督の森田芳光は既にベテランと言っても良いキャリアを持ってたはずなのに、なんでこんなに毒されたんだ?

(評価:★1)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。