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[コメント] 枢機卿(1963/米)

良い作品なんだけど、どっか釈然としません。それがプレミンジャーらしさとも言えますが。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 カトリックの世界、特にヒエラルキー上部になればなるほど分かりづらい世界となっているため、本作はその紹介篇としても、そして何故カトリックは変わらねばならなかったのか。という事も分かってくるので、なかなか勉強になる話ではあり。一人の司祭が枢機卿になるまでを通したドラマとしても、実際本作が力の入った良作であることは確かな話。

 ただ、本作を皮肉な目で観ることは確かに出来る。

 他でもなく、第二次世界大戦時。カトリックはナチスと結託したという噂を立てられた。それがどの程度本当かどうかはともかくとして、それに対して法王庁は明確な回答を避けていた時期があって、それが憶測が憶測を呼ぶ。と言ったスキャンダラスな時代があった。

 本作が作られた当時、その疑惑のまっただ中にあったはずだが、本作によれば、ドイツ教区の、しかも教区長一人がナチスの圧力に負けた。という感じで描いている。つまり、カトリック全体としては、全くナチスとは関係が無く、その人物だけが悪いのだ。という、なんか言い訳に聞こえてしまうような描写がされているのが、ちょっと気になるというか、一種のプロパガンダ臭さを感じてしまう。

 他にも、流石アメリカで作られているだけにラストはいかにも「民主主義万歳」と言った雰囲気がぷんぷんと…ゴシップでも無ければ歴史的事実を丁寧に描こうというドキュメンタリーでもないのだから、それで良いんだろうけど、どこか釈然としない部分が残る。

(評価:★3)

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