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[コメント] 億男(2018/日)

実際に自身に置き換えて「金って何だろう?」と思わせたところで、この映画は既に成功してる。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 予告を見る限り、てっきり親友に金を持ち逃げされた男をめぐるサスペンス作品かと思ってた。監督も佐藤健と組んで『るろうに剣心』作った人だし、てっきりアクションをふんだんに使うのかと思ってたのだが、蓋を開けてみたら意外な展開が待っていた。

 本作の大部分は会話で構成される。正確には誰かの一方的な金の持論を主人公が黙って聞いてるだけ。ほとんど喋りまくって終わってしまった。これだったら映画にするよりも舞台劇にした方が映えそうな作品だ。

 とは言え、物語自体はとても興味深い。

 金というのは一体何者か?というストレートな問いが物語の基調となるのだが、観てる内に、わたし自身金というのを全く理解してなかったということに気づかされる。

 実際私の持つ金についての理解というのは低い。

 金とは何かを得ようとする過程の存在だと言う事くらいか。金は基本的に万能な兌換券であり、持っていれば大概のものは手に入るものというのが基本的な知識だし、金について語るとすれば、執着の度合いを測る程度の認識しかない。

 だから、目的を持たずに金を手にするのは虚しく、金そのものに執着するのはばからしいと思いつつ、それでも金が欲しいと思う心といつも対面させられてるというくらい。改めて貧困な知識しか持ってない。

 本作は、その事実を突きつけられた気分になった。

 結局本作は「俺にとって金とは何だろう?」と主人公が考え尽くす話なのだが、それは同時に視聴者にとって「あなたにとってお金とは何ですか?」と問う作品になってることに気づかせるものとなってることに気づく。

 小説であればそれで良いんだが、それが映画として成り立ってるかどうかが問題だろう。小説を読んでいない私としては、映画でもちゃんとメッセージを受け取れたと思うのでこれで良いと思うが、小説のファンだったらどうなんだろう?とは思う。

 あと、一つ苦言を呈するなら、主演の佐藤健と高橋一生の二人は大学時代の姿もあるのだが、全く若く見えないのはちょっと無理がある感じではある。北村一輝とか藤原竜也とかの脇を固めるキャラが立ってた分、そこをもうちょっと丁寧にしてほしい。

(評価:★3)

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