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[コメント] アナと世界の終わり(2017/英)

ミュージカルシーンは必見。ただし通常のシーンで見所がない。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド(1968)から始まったリビングデッドものの作品は、特に21世紀になってから一気に増えて立派な一ジャンルを構成するようになっていった。パターンは基本同じで、何らかの原因で知性を失って人間を襲い始めた人の群れから逃げたり戦ったりする。基本設定が同じのため、作品は似たものになりがちで既に飽和状態にある感じもあるが、スターも必要無いし低予算でそこそこ見栄えする作品が作れるため、今も尚世界中で作られている。

 それでも時折面白い切り口から作られてスマッシュヒットとなる作品もいくつかできている。本作もその内の一本に数えられる。

 本作のヒットはひとえにトレーラーの面白さにあった。今も動画サイトで無料で観られるが、軽快な音楽に乗って主人公の女の子アナが歌いながら登校するミュージカル風の描写の背後でリビングデッド化した人間が町の人を襲っているという極めてシュールなもの。歌と踊りに夢中のアナはそれに全く気づかず、ニコニコして歩いている風景が大受けしたお陰である。

 基本的な作品路線は他のリビングデッド作品と変わらないが、トレーラーにあるように、ミュージカルと高校の青春ものを取り入れたことで、あっけらかんとした明るい作品に仕上がったのが特徴となった。

 一見相容れないリビングデッドと高校生活の楽しさ。極限的状況にありながらも高校生活を満喫しようとするのは日本の映画がっこうぐらし!(2018)にも通じるものがある。日英でほぼ同時期に同じような作品が作られたのは興味深いところだ。

 全般的に安っぽい雰囲気はあるものの、悩みながらも健気に明るく振る舞う主人公のアナが上手く画面映えしてるのがポイント高い。ただ、明らかに一人だけ演技の質が高いので、他の俳優がそれについていけなかったのが残念だった。

 怖さはないが、基本を押さえつつにシュールさを主軸に据えた出来で、一見の価値はある。

(評価:★3)

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