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[コメント] 透明人間(2020/米=豪)

ホラーよりも推理に集中させたのは大正解。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 他のモンスターものと透明人間ものの大きな違いは、透明人間がモンスターではないという点だろう。他の作品に出てくるモンスターは基本人間ではないのだが、透明人間は純粋に科学によって生み出された存在で、透明である以外は普通の人間である。そしてもう一点。透明人間になる人間が主人公になることが多いという事が挙げられるだろう。透明人間が純粋に人間だからこそ出来る事でもある。

 透明人間は科学によって生み出されるのだが、そのほとんどは薬品によるものだった。  それを変えたのが本作の大きな特徴となるだろう。流石AR(Augmented Reality)時代の作品で、全身スーツを着込んで他の人から見えなくすると言う方法を使った。それによって透明人間は特別な人間ではなく、スーツの機能を理解さえすれば誰でも透明人間になれるようになった。ここが新しいし、それを存分に活かした。

 これによって「果たして誰が透明人間なのか?」という疑心暗鬼が生じることになる。

 本作の主人公であるセシリアは、恋人のエイドリアンが透明人間である事を知っており、それを周囲に信じさせるよう奮闘する。透明人間は見えないために、精神を疑われたり、セシリア自身の狂言を疑われたりしながらもなんとかかんとかエイドリアンのことを信じてもらい、そこで協力を得てやっと透明人間を追い詰めるのだが、透明人間になっていたのはエイドリアンではなく意外な人物だった。ミスリードを上手く使った脚本だが、これまでの透明人間ものの作品には見られなかった意外性を作り出すことが出来たのだ。  そしてこれまた大変意外なラストも面白い。ちょっと無理があるような気もするけど、これも意外性を持たせようとしてのことだろう。

 ただ、あのラストシーンには一つ違和感もある。それはセシリアが立てた仮説は裏付けがないと言うこと。だからあれがもしセシリアの妄想の産物だとしたら、ラストシーンはとんでもないものになってしまう。その含みは要らないんじゃないかね?

(評価:★3)

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