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[コメント] ぼくの伯父さんの休暇(1952/仏)

爆笑するとか痛いとかではなく、ぼんやり浸り続けていたいという種類の笑いですね。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 『ぼくの伯父さん』よりも更に台詞は少なく、一貫したストーリーも希薄だが、その分本作の報がタチのパントマイム的行動が映え、周囲の人間の細かいスケッチも巧い。細やかな何気ない動きをただカメラで追っていくことで不思議な間を作って、なんかほのぼのとした笑いが漏れる。まるで偶然の積み重ねのような風景なのだが、人間が日常的な笑いに至るタイミングを熟知しているからこそできる演出で、タチは完璧主義で知られるので、どれだけ細かい演技指導があったのだろう。と思わされる。

 そしてその細かいスケッチの中にタチ演じるユロが入り込むことで、混乱度が増していくという過程も面白い。彼の存在は風景に溶け込んでいるようでいて浮いていて、彼に関わる人はなんかしらちょっとしたトラブルが起こる。ユロはトラブルメーカーだが、彼自身に何か悪気があるわけでも、トラブルが起こったからと言って、重大な怪我があるわけでもない。日常にちょっと起こる(かもしれない)トラブルがユロのお陰で連続して起こってしまう。

(評価:★3)

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