[コメント] 残菊物語(1939/日)
放蕩とは芸の肥やしとは言いますが、身につまされてしまってはまりこめませんでした。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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本作は国策映画に反対する溝口監督の意地とされているが、実際は国策映画として作った戦争映画『露営の歌』が失敗してしまったため、やはり自分の作りたくないものを作っても駄目だ。と見切りを付けたためだと言われる。
戦後の溝口作品に見られる男と女の関係がここにも良く見られるが、そう言う意味では厳しい映画環境の中、自分の出来る範囲で作り上げようとしていることがよく分かる。 「芸道三部作」と言うだけあって、ここではその情けなさが芸の肥やしとなり、やがて一本立ちしていくことになるので、一種の成功物語として捉える事も出来るのだが、それに至る過程がやっぱり痛々しい。
溝口映画の特徴として、特に女にだらしなく、碌々稼ぎもない男と、それに尽くす女性という構図があるが、まさにそれは本作で確立されたと見られるだろう。軍国主義の時勢下、よくこんな男女関係を描いて検閲に触れなかったものだと感心する。あまりにも戦いから離れているから逆にOKだったのかな?
ただ、私の方の問題だが、溝口監督作品のこういう男女の描き方は身近にいすぎるために、どうにも身につまされてしまって、はまりきれないのが残念。
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