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[コメント] 夜行列車(1959/ポーランド)

観てるだけで裏を考えてしまうのがポーランド映画の醍醐味ですな。こんな役でもチブルスキーは格好良く見えてしまうのが不思議。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 本作は一応サスペンス調ではあっても(途中軽いどんでん返しもあるが)、基本的にはそれぞれに生活の悩みを抱えながらリゾートに出かける人々を描く群像劇に過ぎないし、途中のサスペンス部分も主人公達とはさほど関わりを持ったものではない。演出も決して洗練されたものではなく、途中結構ダレ場もある。

 しかし、彼らの立ち居振る舞いや言葉のやりとりなどを見ているだけで色々と考えさせられるものだ。ダレ場が逆に映画観ながら考える良い時間になってる。

 以降勝手に考えるのだが、本作に関しても、例えば秘密警察の存在の暗示や、隣人を誰も信じられないという圧迫感。あるいは国家同士の蜜月期間の終わり。など、考えようと思えばいくらでも考えられる。よしんばそれが全く的違いであったとしても、そう言う印象を観ている側に与える事が出来る。

 観ている側が色々考える。それこそがポーランド派作品の最大特徴であり、本作の肝とも言える。ある意味映画を観ながら色々考えるというのは、映画好きにとってはとても幸せな時間なのだから。なかなかそう言う作品に出会うのは難しいのだが、ポーランドの作品の多くはその時間を作れるのでとても好きだ。

 今回は結構情けない役だったチブルスキーではあるが、『灰とダイヤモンド』でやられてしまった身としては、こんな役でもやっぱり格好良いと思ってしまうのはファンの負い目か?

(評価:★4)

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