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[コメント] 復讐するは我にあり(1979/日)

なんでこんな危険な人間がもてるんだ?(ひがみです)
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 佐木隆三による直木賞受賞のノンフィクション作の映画化作品。5人を殺害し、日本全国を逃げ回った犯罪者の半生が描かれるが、今村昌平監督の手によって極めて生々しく、怨念まで感じさせられる作品へと仕上がった。

 凄まじいばかりの男の半生を描いた作品で、主演の緒形拳、助演の三國連太郎の演技の巧さもあって、描写的には文句ない作品に仕上がってる。更に周りを彩る女優人も体当たりの演技。特にキャラに関しては凄いし、ラストのストップモーションを初めとし、ダイナミックな演出も映える。

 ただ、私に関しては、演技の巧さは認めるし、ダイナミズムも凄いのだが、本作は生理的に受け付けなかった。私は家族崩壊を描く作品が苦手って事もあるんだろうが、多分どこかでボタンが掛け違えられてしまったのだと思う。基本的には高く評価できる今村作品の中でも、本作に関してだけは、どうにも。と言った感じ。そう言う意味では結構残念な作品だったかな?

 しかし、こんな危険な人間にほいほいついて行く女性がこんなにいるってのは不思議な話だ(結局それが本音か?)。危険な男こそ魅力的なんだろうか?その点私なんぞは人畜無害を絵に描いたような人間だからなあ(?)。

 尚、本作は今村昌平監督によって映画化されているが、それに至るまでにはかなり難航したらしい。実は原作者の佐木は映画化の際、今村昌平だけでなく、黒木和雄、藤田敏八、深作欣二の三人にも監督の口約束をしてしまっており、今村監督が映画化するとニュースが流れた時には三人からクレームがついてしまったのだ。佐木は今村プロに映画化権の解約を要請するが断られ、最終的に今村監督作となったという経緯を持つ。

(評価:★3)

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