コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 沈黙の世界(1956/仏)

この映画は全て趣味が高じて出来た事なので、最も幸せな生き方が出来たマニアの憧れかも知れません。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ジャック・イヴ=クストー。この人は元々映画監督ではない。フランス海軍の大佐で軍人なのだが、海洋調査を進める内に海の魅力に取り憑かれてしまい、その調査結果を基に海洋学者にまでなった人物で、水中考古学なる学問を発足。更に海中深く潜るためにスクーバ(商品名アクアラング)の開発者としても知られる人物。

 ドキュメンタリーなので物語はないけど、単に魚を紹介するだけでなく、カリプソ号に乗っている人物もきちんと描写しており、しかも彼らの目的は映画ではなく、海洋調査であるため、ここに登場している人物達はリアルで危険な目に遭っているのがよく分かる。実際本作の緊張感はかなり高い。ドキュメンタリーだからこそ出せるリアリティというのがここにはある。

 この時代のドキュメンタリーとしては『砂漠は生きている』(1953)もあるが、あちらが動物を眺めるのに徹しているのに対し、こちらは映している緊張感まで伝わってくるかのよう。こういうドキュメンタリーの作り方もあるんだね。

 クストーはこれまでいくつかの短編ドキュメンタリーは撮影していたが、商業的作品を作るために撮影助手としてまだ学生だったルイ=マルが参加。共同監督としてクレジットされる。マル監督も本格デビューの前に既に名前が知られていたという事になる。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。