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[コメント] グリーン・デスティニー(2000/米=中国)

後になってチャン・ペイペイが出てたことを知って驚きました。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 特に既に世界的に有名になっているリー監督の手による、充分に金を遣って作られた画面作りは、本当に綺麗で、日本人のわたしの目から見ても、東洋的なエキゾチックさを満載しているし、アクションに至っては、時には静かに、時には激しく。不思議な感触で観ることが出来た。特に無音のまま戦いが展開するというのは、それまでの香港映画でも、勿論ハリウッドでも全くやったことがない試みであり、その特異性は今観ても尚新鮮そのもの。実際画面に関して言うなら、これだけこなれたものが当時作れたのは、世界広しといえどもリー監督しかいなかっただろう。初めてこれを観た瞬間は、画面に吸い込まれそうになったほどだった。物理法則を完全に無視したアクションも、これならOK。

 ただ、致命的に本作は脚本が…これだけはとても残念というか、もうちょっと画面に釣り合った物語を作ってくれていれば文句は全く無かったし、多分評価も跳ね上がったんだが。

 これは脚本については香港の人間に任せたのがまずかったんじゃないか?香港映画を悪く言うつもりは全く無いのだが、あそこは伝統的に脚本がこなれてないから…香港は映画に関して盗作は罪にならないので、なまじ脚本を字で書くとあっという間に盗作されてしまうため、脚本は全て脚本家の頭の中で、更に即興を大切にするお国柄だけに、物語を簡単に破綻させてしまう傾向があるから。だったらだったでもっと単純にすればいいのに、敢えて複雑にして見せたのが問題。

 本作の脚本はかなりすごく、物語の本筋は極めて単純なのに、登場キャラの人物像の掘り下げがくどく、一本道の本筋を阻害しまくってる。後半になると人物の入り乱れで何が何だか?状態。ラスト付近は物語を捨てて活劇を観るしか出来ない状況に追い込まれてしまう。はっきり言ってしまえば、物語はチャン・ツィイーが暴れるだけの話になってしまった。一応原作付きの作品のはずだが、どうやってこんなこんがらがった物語に出来たんだか?正直退屈さを覚えてしまう。

 キャラに関しては申し分無し。特にオープニングショットのチョウ・ユンファの凛々しさと、本作でブレイクしたチャン・ツィイーの可憐さには痺れる。この二人が戦ってるシーンだけでこの映画は充分保つ。ところで、中盤えらく迫力があり、しかも凄い体術をもったおばちゃんが出てきて、しかもそこだけ他の役全部食ってしまうので、えらく華があるおばちゃんだ。と思ってたら、この人チェン・ペイペイだったの?後で知って驚いたよ。

(評価:★3)

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