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[コメント] 弟切草(2001/日)

確かに製作費は少なくて済んだのかも知れないけど、映画は映画。これを劇場に観に行った人にはまことに気の毒としか言いようのない内容だった。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 元ネタは同名ゲームで、ゲーム界にヴィジュアルノヴェルというジャンルを打ち立てた記念すべき名作(偉そうに言ってるけど未プレイ)。更にゲーム脚本家による小説化に続き映画化。と言う鳴り物入りで公開された作品。

 多分この映画の製作にあたって、スタッフは全く新しい映画作りを目指したのだと思う。現実とゲーム内の非現実を同時に画面に出し、自分が今何を“見て”いるのか、その足場を不安定にさせようとしたのは分かる。そして全てをディジタルビデオで撮影し、更に現実感を喪失させようとしている。

 …狙いは分かりすぎるくらいに分かる。これだけを言うと、なかなか面白い作品のように思えてしまうのだが、蓋を開けるとさにあらず。まっすぐゴミ箱行きが一番似合う作品に仕上がってしまった。

 現実と非現実の境目を無くし、観ている人間を不安に陥れると言う方法は、実は昔からよく使われる手法で、実は全然目新しくない(映画においてはヒッチコックの『めまい』(1958)という見事な作品がある)。特に小説では80年代に小説を書こうとした年端もいかないバカヤロウが大挙してその手の作品を書き殴っていた(そのバカヤロウとはまさにこれを書いてる本人も含まれる…自分で書いてなんだが、ちょっとグサッと来たな(笑))。これはゲームから来たから仕方ないとは言え、洋館が舞台ってのもあんまりにもステロタイプ。しかも隠し部屋はあるは、神出鬼没のキャラはいるは、これは綾辻行人の小説か!(済みません)。内容で言っても、会話のテンポも悪い上に緊張感がない。更に画面を荒くしたのはわざとだろうが、全編に渡って暗く作っているので、画面で何をやってるのか、とにかく分かりづらい。ストーリーに魅力がないため、目をこらして観ようと言う気にもさせない。

 ラストのオチも「あ、そう。だから何?」の一言で済ませられる。そこに至るまでに観る気がなくなってるので、多分どんなオチであってもそう言うだろう。

(評価:★1)

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