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[コメント] ドラえもん のび太の宇宙小戦争(1985/日)

スター・ウォーズ』を純粋に子どものために作ったような作品だけど、きっちり楽しく作られてる実力があった。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 着実に毎年一回の公開が定番になったドラえもんの映画。この年は初めて宇宙そのものを舞台にした作品になった。

 しかし実はこの話はかなり早くから原作があったのを私は知っている。他でもない『スター・ウォーズ』(1977)公開時に、パクり…インスパイアを受けた、元ネタがはっきりした短編漫画として70年代に描かれたものだ。その作品で初めてのび太が射撃の名手であるという設定が登場したと記憶している。原作の方は他愛のないギャグ漫画として仕上げられているが、それを膨らませて(更にスターウォーズ色を脱臭して)映画にしたのは面白い。

 前述したが、のび太が射撃の名手という設定はテレビ版ではあまり言及がないのに対して映画版では定番になってるのが面白いが、本作が恐らくそれを印象づけることになったのだと思っている。他の作品と較べてのび太の活躍が結構目立った話になってる。

 通常仲間の足を引っ張る存在ののび太がそれなりに活躍するという事は、他のキャラの比重が高いと言うことである。

 本作の主人公は勿論のび太とは言え、この作品で目立ったのは面白いことにスネ夫の方だった。宇宙に出た際、メカニックを駆使してしずかを救う活躍ぶりと、文句たらたらのグダリっぷりが良い対比になっていて、のび太以上に個性を見せつけていた。

 お姫様役のしずかも戦士としてきちんと戦えるのもポイントだろう。

 ただ、他の星の戦争に積極的に首を突っ込んで本来向かうべき星の道筋を無理矢理変えてしまうシナリオは、今から考えるとちょっと恐い気はする。

 結果としてのび太達の活躍は従順を旨とするピリカ星の住民の心に働いて、民主化のためのクーデターに発展してしまう。ピリカ星にとってはのび太達は英雄である以前に、自分たちの力で向かうべき道をねじ曲げた大罪人でもある訳だから。

 今の目から本作を眺めてみると結構複雑。

(評価:★3)

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