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[コメント] アルカトラズからの脱出(1979/米)

挑戦する事にこそ意義がある。本作観てるとそんな事を思わされます。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 1934年から始まり、1963年まで続いたアルカトラズ刑務所から唯一脱走したという3人の囚人の実話をベースにシーゲル監督がベスト・パートナーであるイーストウッドを主演として作り上げた脱走ものの傑作。

 物語そのものは定番の脱走ものを継承しているものの、1970年代のハリウッドの中にあって演出力では定評のあるシーゲル監督の事。上手く脱出劇を作っている。何よりも本作の場合、イーストウッドの魅力を見事に引き出してる。

 実際ここでのイーストウッドはベスト・パフォーマンスと言える演技を見せているが、実はイーストウッドはあくまで自分の演技を崩してはいないというのが特徴。『荒野の用心棒』(1964)以降、彼の持ち味となった無口で何を考えているのか掴みにくいキャラを今回も押し通している。無口なキャラだから愛嬌を振りまくこともなければ、受けが良くもないが、強い意志を持ち、それに惹かれる者と反発する者が出てくると言った感じ。本作では特徴的な人物を多数配することによって、逆にイーストウッドの無口さを映えさせることに成功した上手い例だともいえるだろう。

 極力音を廃した演出も、緊張感が上手く出ていて大変面白い出来になっていた。イーストウッドの無口さを上手く演出出来ていたんじゃないかな?

 ところで、オチなのだが、実は海で溺れたって可能性も結構高い。改めてその観点から考えてみると、面白い。そう言えばイーストウッド演じるモーリスは脱走の常習犯だったそうだが、ここでは脱走後のことは一切語っていない。あるいは彼は脱走する。というその高揚感に取り憑かれてしまった男だったのかも知れない。そうするとこの脱走も、生きるために行ったのではなく、本当の意味で純粋な意味での“挑戦”だったのかもしれない…だとしても、これはこれで男の生き様だろう。

(評価:★4)

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