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[コメント] チャンピオン(2002/韓国)

中途半端に『ロッキー』しながら『ファイターズ・ブルース』もどき(違 2004年2月13日劇場鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







based on true stroy、って訳で実話らしいけど、やるべき事をしっかりやり遂げきれて居ない脚本にはうんざりしてしまう。大体、彼のボクシング人生=半生を映画化しよう、と思った地点で、映画化するそれなりの理由があったはずだ。例えば『アリ』ならば、モハメド・アリと言う人物の、不屈の生き様を描き出す事だった。では、この作品は?

父親が3度も入れ替わり、昔から虐められてきたキム・ドゥックは、チンピラにボコられて遂にボクシングを始める。少しずつ腕を上げていき、プロデビューしてからは勝ち続け、遂に韓国チャンピオンの座を勝ち取る。そんな時にある女性と出会い、恋に落ちる。そして、彼は遂に東洋チャンピオンの座を手に入れ、さらに今まで反対してた女性の父親からも認めてもらい、そして、正式に婚約する為、その愛の証明として韓国の期待を背負って世界タイトルの座を賭けて闘う。しかし、結果は14ラウンドでKOされる。そして彼は帰らぬ人となった・・・

映画で描かれたのはこういう話だけど、演出力が致命的に欠如している為、試合シーンの迫力はあっても熱くなれない。練習シーンも少ないし、恋愛シーンはベタベタで安っぽい。音楽もメインテーマこそはカッコイイのだけど、他の部分の選曲には少々疑問が残る箇所もある。

この監督の前作『チング』ではボロボロと大泣きをさせられて、エンドロールが終わるまで涙が止まらなかった俺だけど、今回、この監督の作品は中だるみあり、迫力があっても中身スカスカのボクシングシーンあり、安っぽい恋愛ドラマあり、主人公の心理描写希薄、と言う前作と比較する事すら疑問に思えてしまう。

この作品の言いたかった事は、エンドロール直前のドゥックの日記からの引用では?その前の良く分からんシーンと演出があんまりにもしょぼかった(海をダラダラ映したり、ドゥックの息子がジムに行ったりする奴)のでよく覚えてないけど、要するにこの人の、決して諦めず前に進み続ける、ど根性だろ?自分を信じて自分に勝つ為に決して諦めない。そんな強い心だろ?ついでに、そこにスパイスとして、不器用で、拳でしか生き様を見せられなかった故に、女に対する愛も拳でしか証明できなかった。しかし、家柄も過去も関係なく、体と拳があれば闘えるボクシングを必死に信じる、その真っ直ぐな、限りなく真っ直ぐなど根性を描く作品じゃないの?

そういう主人公の、不器用でも真っ直ぐな姿と、試合前の闘争心とか、そういうのをきちんと描かないと中身スカスカになっちゃうよ。脚本が弱すぎる。過去の回想シーンも説明不十分だからご都合主義にすら見えてくる感が否めない。

大体、クライマックスの世界タイトル戦試合直前を完全に省いてしまったのが一番痛い。入場シーンすら無い(全てオープニングにある)。オープニングであれ描いても何も効果ない様な気もするんだけど・・・。大体、彼が一体何の為に戦っているのか、そういう事を描くからこそ試合シーンが引き締まるってモノだろ。せめて試合前に、あのメインテーマっぽい曲(エンドロールと予告編の最後のほうに流れる曲)を流しながら悲壮感をアップさせるとか、とかベタでもいいから、そのくらいしてくれないと、ただの迫力あるボクシングシーンにしかならないよ・・・。女性の描写も薄っぺら過ぎる。まだ予告編の方が良く出来てたよ。絶対。ホントに男が闘うのが愛の証明だと気付いてたのか?疑問が残る。

これじゃ本人に失礼だよ。

あっ、でも汗で髪がびしゃびしゃになってる状態で相手を睨みながら闘ってる姿はカッコよかった。

(評価:★2)

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