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[コメント] クライモリ(2003/米)

原題「wrong turn」がストーリー解説に事足りる素敵な映画。骨太ジェットコースターホラーだけど、「怖い」と言うよりもエキサイティングなポップコーンムービー 2004年10月16日劇場鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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邦題『クライモリ』ってどういう意味なのか良く分からないのだけど、これって単純に『暗い森』とかいう意味?アホか。と思って劇場に行って、そこで初めて原題を見る。『wrong turn』。大笑いしちゃいました。どういう展開で森に舞台が移るのかが一目瞭然の素晴らしい(バカ)タイトル。タイトルだけでB級腐敗臭がぷんぷん臭って来る、この単細胞脳足りんぶりに思わず感動。

大した期待を持たず、前知識も「古いタイプのホラー」という批評のみ聞いていただけに、この出来には驚き。少々甘いが5点を献上する。

まず驚いたのは、元々俺が怖がりなのが原因なのかもしれないけど、全編持続し続ける緊張感。怖がらせるよりも、観客をキャーキャー言って楽しませようと言う作り手の”いたずらっ子”的な笑顔が見えてきそうなエキサイティングな展開が上手く作用して、手に汗握る一大スプラッターを展開する。きっと作り手も楽しそうに作ったんだろうなぁ・・・とふと思った。

劇場を後にする際、「怖くなくて期待外れ」とぼやいている人が居たが、とんでもない。確かにコレは怖くない。しかし、コレはきっと怖さなんて物を演出したくて作られた映画じゃない。文字通り、ジェットコースターに乗った時のスリルを感じて欲しいが為のジェットコースタームービーでしかない。そう、歴史的恐怖映画『悪魔のいけにえ』を大胆にもジェットコースターポップコーンムービーの『テキサス・チェーンソー』としてリメイクしたのと同じ様に(まぁ元々音でビビらす演出しかしないホラーの殆どは”怖くないけど面白い”の方が多いと思うけど)。

例えばそれは、主人公達が気狂い3兄弟の家に隠れるシーンや、見張り台から木の枝の上の追いかけっこにという一連のシークエンス等に代表して垣間見れると思う。

全編に渡って「バレる(捕まる)かもしれない」という緊張感漂うシチュエーションを強調した演出や、「後ろに居るかもしれない」問いう演出を行っているように思える(肩越しの撮影のカットも多かったし)。で、これらの緊張感が一番上手く表現されていたのが、上記の2シーン。特に序盤過ぎた辺りの気狂い3兄弟の家のシーンと、監視塔から木の枝に飛び移るシーンとかの緊張感は本当に素晴らしい。

そして殺戮シーンの一大スプラッター!!!ただただ、「ボンクラヒッピーどもが森で襲われる」と言う基本プロットで突き進むこの作品の、単細胞なストレートさに心底感動した。

全体的に『テキサス・チェーンソー』と被る部分もあった気がするけど、やっぱりこれは『悪魔のいけにえ』を意識しているのだろうね。

但し、やっぱり不満も残る。ってこの手の作品にイチイチまともな突っ込みするのは野暮って分かってるのだけど、コレだけは許せない。

それは、登場人物をきちんと料理しきれて居ない、と言う事。別に一人一人が凄く魅力的である必要はない(勿論、魅力的であることに越した事は無いけど)。「殺されてザマーミロ」なリーダーシップを発揮するボンクラとか、そういうのを設定して居ない事に不満は残るのだけど、どうしてあれだけの人数が要るのに、刻まれてぐっちゃぐっちゃにされる死体は(画面に映る限り)あんなに少ないんだ!?もったいなすぎる!いっそ、ここで『食人族』のパロディをしたりすべきなんだ!だってコレ、旧式ホラーへのオマージュ作品だろ?

ジャングル逃げ回ってる所見ていて、どことなく『カニバル』を思い出したし。

それから、誰が生き残るかがあまりにミエミエすぎるのも、少々ストレートすぎるように感じた。

って訳で、甘めに★5!って、メチャクチャ楽しかったからね、この映画。

(評価:★5)

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