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[コメント] ザ・フライ(1986/米)

語り尽くされたストーリーと言えばそうかもしれないけど、随所に入るクローネンバーグのナイス悪趣味!が心地良い。 2004年12月5日TV鑑賞(吹き替え)(★3.5)
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







化け物になっていく男と、それを受け止めなければならない美女(と、俺は思わなかったのだけど)という設定は、オリジナルは未見だけど、基本的なストーリーは本作と大差ないと考えれば、その時代から語りつくされてきた話、と言うわけで、今更その焼き直しを見せられた所で、対して目新しさは感じない、と言うのが正直な感想。

科学者の人格が、実験の思わぬ成功(・・・と、言っても結局ハエと合成してただけなんだけど)で図に乗り始め、次第に崩れて行き、愛する女性との関係が微妙になっていく、と言うのも、まぁ良くある話、と言うか何と言うか。

と、言う風に、作品そのものには大した目新しさは感じなかったのだけど、まぁ退屈しなかったし、随所に見られたグロテスク趣味は非常に楽しく、思わず笑って・・・いいのか? 笑ってしまう。と、言うか「お、楽しんでるねぇ」と妙な親近感を。

っていうか細部のグロ趣味、と言うか、ハエ男のヴィジュアルが何とも気色良くて、こーゆーのが大好きな俺は嬉しくてたまらない、と言うか何と言うか。

と、まぁ、ここまでなら★3程度なのだけど、ラスト、融合しようとしたハエ男が、結局鉄と融合してしまい、苦しみながら彼女に射殺される事を目で請う場面で、「やっぱ俺、この話好きだぁ」と、定番のストーリーが大好きな単細胞な俺は一つ★増やそうかな、と少し悩んだりして(結局増やさないけど)。

まぁ全体的に見て、コレと言って強烈な目新しさは、(グロテスクな)ヴィジュアルを除いては特に無かったかなぁ。

あ、でもあれだ。良くある「形は崩れても心は人間のまま」という、ハリウッド的ポジティブ物語、と言うか性善説というか、まぁそんな物ではなく、あくまで「ハエは獰猛で、他の者を傷つける」として、形も崩れて心も崩れて、と言う風に描いている点には、少々関心。

そう考えると、ラスト、恋人の持っている散弾銃を自分の頭部に突きつけさせた、あの行為は「恋人の手で殺してもらう=愛」と解釈する事が出来ると同時に、「俺、痛いの嫌だからさっさと死ぬ」と言う身勝手さを描いている、と考える事も出来るんじゃないかな、とか思う。

て、考えると(っていうか多分違うけど)この映画って実は、あのジャーナリスト女性の片想い映画なんじゃないのか、と疑ってかかる捻くれ者の俺。

(評価:★3)

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