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[コメント] 海の牙(1946/仏)

服従と叛乱
ルミちゃん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







DVDに字幕、一番最初に1953年と出ますが、1945年の間違いです.

任務を遂行するとは、命令に服従すること、権力に服従することであり、戦争とは服従を抜きにしては成り立たない.あるいは、服従することが正しいものとして扱われる、のでしょうが.

潜水艦に乗り合わせた者達の、敗戦を意識した状況における人間模様.まだヒトラーが生きているうちは、服従すべき権力が存在したのだけれど、死後はそれはないはず.戦争の終了を知った後も、なおも、自分が権力者となって服従を強いるゲシュタポとは、いったい何なのか.この男を考えても何も解らない.むしろ、その命令に従った者が居た、この方が問題なのでしょうか.この映画、細かな人間模様を考えても何も答えは出ないと思える.まとめて考えて、少なくとも、誰からも自分達の行った戦争が正しかった、あるいは正しいものと考えて行ったのだ、そうした考え方は出てこない.敗戦を意識してもなおも勝利を信じていると芝居を続けている、単に命令に服従してきただけの人間性が見えてくる. ただ単に命令に服従する事が悪い、つまり命令に服従することを強いる、生か死かで強いる戦争が悪い.これでいいのでしょう.

先の作品、鉄路の闘いでは、レジスタンス、反抗が描かれました.あの作品、見事なところは、自分から何かをする、自分から何かをする、こう描いたのですが、つまり、誰かの指図によって行動するのは、服従であり(戦争と同じ行為)、反抗ではありません. この映画では、最後に乗組員が反乱を起こす、誰から観てもそれは正しい行為.戦争が終わってもまだ戦争を続けようとしている、その行為に反抗した.反抗(レジスタンス)とは、戦争をすることではない、戦争を終わらせること、戦争に反対することである.

(評価:★5)

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