潜在意識とか潜在能力という言葉があるが、「潜在意思」というものもあるだろうか。それは潜在意識に包括されるものかもしれないが、意識よりもさらに本能に近いところで脳内、体内に働きかける手に負えないもの。目の前に物が飛んできた瞬間思わず眼を閉じるとか、危険にさらされた瞬間思わず悲鳴をあげるとか、そっちに近いことなのかも。

　で、おそらくこの映画は自分自身の潜在意思を死者からのお達し風に描いてしまったのが映画として浅いところだ。死者からのメッセージというスタンスを前面にこれみよがしに描かれると、それはもうホラー的恐怖と超常的ショックの体験に過ぎない深みの無いB級理論に格下げとなる。その辺が突き詰められて、生きた人間主体の潜在能力的感性に的を向け、さらに主観と客観を理論的に使い分けた描き方をしてほしかった。