この映画は何よりも、日常と狂気を同居させたところに、他のホラー映画に対して分があると思う。

たとえば、レザーフェイスの家にしても、あの白いブランコと青空の美しさといったら。僕らが子供のころに感じていた太陽の香りを思い出す気持ちだ。 さらにはレザーフェイスは一家を形成していて、一人ひとりが特徴を持っている。全員が全員殺しが好きなわけではなく、彼らには彼らなりの生活があり、レザーフェイスもその中で苦悩したりしている訳だ。

ここら辺の妙な現実感が、この映画の持つ狂気と恐怖をより増幅させて、かつその純度を高くしている。例えばレザーフェイスの家がいかにも怪しげな屋敷だったりしたら・・・その時点でこの映画は一気に下世話なものとなるだろう。