コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ヴァンパイア(2011/日=カナダ)

舞台が日本ならと考える。
モロッコ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







カナダであるから美しさが成立した作品。 内容は平凡でつまらなく、舞台が日本で日本人で同じことをしたら酷いことになっていたのだろうな…と 観賞しながら考えていた。

どこか遠い場所で起きている事件/事件に関係する人々の話という認識になるところが狙いだろうか。 (外国で、外国人で、英語で、日本語字幕が出ていて)

"凄惨なだけの事象を極めて美しく描いてみる"がテーマなのだろうと思うほどに、 余白を余韻を大事にしてつくられている。岩井俊二らしさでいっぱい。映像は本当に美しいです。 血を抜く儀式も、道具も、倉庫も、大きな冷凍庫も、少女の部屋という地下室も、待ち合わせ場所の殺風景さも、認知症の母も、行き過ぎた自称ガールフレンドも、ただ歩く森も、バスも、バス停も、白い風船も、メールも、自殺サイト"side by cide"も全てが美しく輝いていた。 同じものを日本で描くとたちまちリアリティが出て、気持ち悪さが先行して、生々しいただのサスペンスホラー映画になってしまう。

テーマは成功している。 しかし私が観たかったのはこれではなかった。 岩井俊二が今いちばん興味のあるドラマが観たかった。 この映画にはドラマが無い。 それでいて、たとえば『SOMEWHERE』のような素敵さも無いのが余計に残念だった。 何かキラリと惹きつけられるものが一つでもあればそれで満足したのに、音楽も『花とアリス』の使い回しかと疑うほど古臭く、岩井俊二が今なにを撮りたいのか分からなくなってしまった。 (岩井俊二の大ファンより)

でも懲りずに撮り続けてほしい。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。