[コメント] グリーン・ランタン(2011/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE のほうが100倍それらしいです。
そもそもグリーンランタン隊というのは、日本で言う「光の戦士」みたいなもんで宇宙でも屈指の恐怖を乗り越えた強い意思を持った人間のみが選ばれ戦うことを決められた宇宙警備機構である。
じゃあ、この映画がとるべきはハル・ジョーダンの宇宙の冒険ロマンだったはずだし、2000年代に入ってここまでこのコミックが売れたのは同じDCユニバースのバットマンや他社のマーヴェルヒーローズが政治問題や社会問題に絡み悩みまくっているのだけがヒーローコミックじゃない、漫画でしか出来ない冒険ロマン活劇だってあるんだぜ?という新しい可能性を提示したのだからそれをすべきだった。
まず、ハル・ジョーダンの性格がありえない。
ランタンのブートキャンプが辛くて逃げ出す性格はしていない、そもそもグリーンランタン隊というのは恐れを越えた存在だからこそ人気が出ているんじゃないか。そのグリーンランタンの主役であるハル・ジョーダンというのはその典型例で冷静沈着な性格をしたアメコミヒーローの中でもトップの単細胞バカである。
だが、仲間思いで故郷であるコーストシティを愛し、彼が怖いものに挑もうとする意思は父親の死によって作り出されたトラウマを否定するが故のものだ・・・少なくとも原作コミックの「シークレット・オリジン」は。
ところがこの映画のハルはとことん軽薄でそこまで悩まないし、悩んだとしても「うえーん、ランタン隊怖いよー><」というぐらいである。
また、ライアン・レイノルズというのもミスキャストすぎる。表情がいつも困ったような感じなのだがなんか軽薄な感じがする。
もっと無鉄砲でやんちゃそうな俳優ならよかったんだが、クリス・パインでよかったんじゃないか。
そんなことはともかく、この映画はキャラが多い割にはイマイチ説明し切れてないし個性も出せてないのが非常に痛々しい。
シネストロというせっかくの師匠キャラがいるので彼とハルの凸凹コンビの宇宙冒険活劇にすればよかった。そして2で彼が悪墜ちしつつも、互いに憎みきれない愛と憎しみを描けばダークナイト三部作なんかより100倍面白い映画になったはずだろう。
そういえばエンドロール後にしネストロがイエローリングをとりだしているが、原作の彼もその後恐怖をつかさどるイエローリングを使いシネストロ・コアという恐怖支配を行う軍団を結成する、その際に地球で選ばれたのはなんとバットマンなのだ。バットマンは恐怖の能力の誘惑に落とされそうになるが精神力で耐ち切ったのだ。
せっかく、マーク・ストロングがいい俳優でイメージもぴったりあってるのに全く活躍しない。
かと思えばでしゃばるのは陰気で陰鬱なへクター・ハモンド博士である。
彼も悪党としてちょっと小物臭く、彼の設定もあまりにもちょっとかわいそう過ぎる。生徒から見下されてるだけならまだしも、親から無能扱いされてヒロインにほれているのにハルにとられて嫉妬しており、挙句の果てに事故で怪物になったらその親玉に食い殺される。
あまりにも不憫すぎる、もうちょっと救いを与えるべきじゃないか。
これはヒーロー映画だぞ、もうちょっと救いがある内容でもいいじゃないか。
ラスボスのパララックスも吹き替え・原語版ともに声優の演技は申し分ないがまるでファンタスティックフォーのギャラクタス並みの小物デザインでガッカリ。
何もかもが中途半端で、何もかもが物足りない、もうちょっと映画化のやり方があったんじゃないか。
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