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[コメント] ベニスに死す(1971/伊)

ビスコンティとトーマス・マン,そしてマーラーが織りなす破滅への美学。
ワトニイ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







こうした破滅への美学は,頭では理解できるが,心から共感はできないような気がする。ただ,本当に心を奪われてしまったもののために,すべてを捨ててもいいと思う気持ちはわかる。

念入りに若作りをし,ラストでは黒い汗を流して息を引き取っていく主人公(ダーク・ボガード)は,恐ろしいほど醜く見える。恋とは,そこまで人の心を狂わせるのか? この主人公を見ていると,歳月とともに自然に美しく歳をとることがいかに素晴らしいことか,わかるような気がする。

それと,これほど動きもストーリー展開も少ない映画を飽きずに最後まで観られるのは,ベニスの風景とマーラーの音楽のおかげだろう。

(評価:★5)

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