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[コメント] 座頭市(2003/日)

無駄?なシーンが多いがゆえに,かえって独特のテンポが生まれている稀有な作品。ただし,タップのシーンは本当に無駄だと思う。
ワトニイ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







延々と畑を耕す百姓たち,長々と続く博打や薪割りのシーン,農民に剣術の稽古をつけるガダルカナル・タカや意味もなく家の周りを走り回る隣家の息子。

これらのシーンがリズミカルに連なり,ラストのタップダンスにつながっていく…というようには私には見えなかったが,一見無駄に見えるシーンが散りばめられていることによって,この作品に独特のテンポが生まれていたことは確かだ。同じ様に,雑魚キャラを斬るシーンがやけに長く続くわりに,主要な敵との対決は殆ど一瞬で片が付いてしまうところも,ちょっと不思議な雰囲気を醸し出していると思う。

しかし,ラストのタップダンスのシーンはどう見ても浮いている。まさに取って付けたような無駄なシーンに思えた。タップ自体は迫力もあって素晴らしいと思うのだが,それまでの2時間近くの話の展開とは何の関わりもないんじゃ?

私の言いたいことは,すでに殆どはしぼそがらすさんがレビューで書かれているが,もともと登場人物が突然唱って踊り出すミュージカルを不自然だと思っている私にしてみれば,今まで話の片隅にも登場してこなかった農民たちがいきなり嬉しそうに踊り出したことほど不自然なものはなかった。『七人の侍』にしても『スターウォーズ』シリーズにしても,ラストの祭や式典で沸き上がるシーンでは,苦難に耐えてきた人の喜びの表現になっているのに。

このタップのシーンを本当の意味でのグランドフィナーレにしたかったのなら,銀蔵一味に苦しめられていた村人たちを前半で少しでも描いておけば良いと思うのだが,北野武にはもっと深い意図があったのだろうか?

もう一つ,これはまったく趣味の問題なのですが,私にはどう見ても,おせい(橘大五郎)が美しくも妖艶にも見えなかった…。このミスマッチ?は『御法度』の松田龍平と双璧だと思うのですが。

(評価:★3)

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