コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] オールド・ルーキー(2002/米)

素材となったエピソードがとても良い話だし、テンポも軽快なので退屈せずに観られるんだけど、努力する姿が描かれていないので感動も半減。
緑雨

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







けっしてあきらめない、夢を追い続ける姿勢。それはとても大切なこと。だけど、夢を実現するためには、それが難しい目標であればあるほど並大抵でない努力が必要なはず。この映画にはそれが抜け落ちているのがどうにも気になってしまった。

負け続けていたハイスクール野球部が突如快進撃を進める前半にしても、モリスが入団テスト→マイナーで活躍→メジャー昇格をトントン拍子で実現していく後半にしても、「夢を叶えたい」という想いさえ強ければ何でもうまくいくのだというのは一面では真理なのかもしれないが、そこに血のにじむような努力という裏づけが存在しないのであればそれは安易な「夢物語」でしかない。同じような実話ベースの映画である『ルディ/涙のウイニング・ラン』が、その努力する姿を徹底的に描いていたのに比べると軽薄さを感じてしまう。

だいたい若い頃80マイル台しか出なかったモリスの速球が、肩の故障を経て身体的にも衰えているはずなのに100マイル近く出るようになっているなんて、普通に考えてそんな都合のよい話があるはずが無い。どうしてそんな奇跡が起こったのか、たとえ嘘っぽくてもその答えを描く責務があるんじゃないだろうか。劇中でもデビルレイズのスカウトが「理由がわかったら教えてくれ」と言ってたじゃない?

さらに言えば、いかにデニス・クエイドが俳優としては立派なガタイをしているとはいえ、メジャーリーガーの中に入ってしまうとどうしてもその貧弱さは明白であり、あの体で98マイルを投げていると言われてもどうにも真実味が無い。また、肩を壊した経験のあるピッチャーが簡単なストレッチだけで肩慣らしもせずいきなり全力投球なんて無茶なことをするはずもなく、そういったディテールの配慮不足も気になった。「映画なんだからそんな細かいこと気にするな」という意見もあるだろうけど、これが実話ベースだというのであれば、そういったディテールこそ大事に描くべきではないかと自分は思うのです。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。