[コメント] この素晴らしき世界(2000/チェコ)
映画として、あまりに痛々しい。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ユダヤ人狩りが徐々に過酷になっていき、ナチスの圧迫が強まってくるという緊迫感をベースに、センスの良いユーモアをちりばめて、バランスのとれた映画だと思う。そして戦時下の圧政によって、密告や保身のためのナチスへの協力など、人間性がゆがめられていくリアルな過程がある。
しかし、いくらなんでも妻が妊娠したというでまかせを本当にさせるためにと言って、あれはないだろう。
それにラストのシーンが「素晴らしい世界」だというメッセージは、わからんでもないが、あまりにも紋切り型でおざなりのように感じられる。
チェコの現状は良く知らないが、戦時中の人間の醜さへの深い絶望のゆえか、この映画ではナチスの戦争犯罪も、その時々の風向きによってころころ変わる主人公の近所のじいさんに象徴される、いってみれば普遍的かもしれない人間の「弱さ」も、同一線上でとらえているのではないか。
そのことがかえって、映画の焦点をボケさせている。そういうところにまで、追い込まれたというのも、一つの戦争の被害といえなくもないし、第二次大戦後も、かつてのソ連の圧迫や「冷戦」の影響などの混乱によるものかもしれない。
そうだとすれば、あまりに痛々しい。
オマケ★★★どうでもいいが、あのポスターはネタバレじゃないのか。配給会社はもうちょっと気をつかって欲しいところだ。
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