[コメント] ウェルカム!ヘヴン(2001/スペイン=仏=伊)
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一人の男の命を賭けた天国と地獄の取り合い合戦映画。雰囲気的にはどことなく『ドグマ』に近いか。
天国の世界観はモノクロームの50年代のようなフランスのパリ風というクラシックな装いに対し地獄の世界観は暑苦しい地下の要塞というところがいかにも漫画的な発想だが、それが天国の使者、地獄の使者の両方のキャラの特徴の説明にもなっており非常にわかりやすく好感が持てる。
ようは一人の男の魂を天国に逝かせるか地獄に逝かせるかで天国の使者ロラと地獄の使者カルメンの取り合いを描いたストーリーで、話自体は恋愛映画にある女の子同士の男の取り合いの雰囲気に近く、さほど目新しい内容でもなかった。しかし、この手の映画にしては珍しく、地獄の謀反を阻止するために地獄と天国が協力するのは興味深い。ラストは意外性はあるがどんでん返し的な演出が連続的に続くので、今ひとつインパクトに欠ける。ただ、観終わってすぐよりも、時間が経ってからじわじわと演出の良さが伝わってくる感じがする。上手く説明できないが、観てすぐだとラストの展開に唐突さがあったが、後々になって考えるとラストのオチにもそれまでの展開にわずかながら伏線が残されていて、考えるごとにラストの展開への解釈がしやすくなっていくという感じか。
役者としては天国と地獄の使者役の2人に普段演じる役とは正反対の役回りを演じさせている辺りは新鮮に感じられた。地獄の作戦部長ジャック役のガエル・ガルシア・ベルナルもカルメン役ペネロペ・クルスより年下にも関わらず、カルメンの上司という役柄を違和感なく演じている。特にマリーナ役ファニー・アルダンへアプローチするところは普通に映像に溶け込んでいて年齢差のギャップはあまり感じられなかった。
総評としては見てすぐより、時間が経ってから演出の良さを実感していく映画という感じで、観終わってから徐々に面白味が増してくる作品。
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