[コメント] 野良猫ロック セックスハンター(1970/日)
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『0課の女 赤い手錠』(1974)という作品で、杉本美樹という女優がやはり、不貞腐れて突っ張った女番長みたいなキャラクターを演じている(役柄は刑事だが。梶芽衣子を有名にした『さそり』シリーズと原作者が一緒で、本作『野良猫ロック』での梶の芝居は、後の『さそり』のヒロインを彷彿させる、という繋がり?です)。 杉本の場合は、演技をするといったレベルではなく、存在そのものだけで突っ走るしかない、というしろもの。これと比べると梶は、はるかに洗練された綺麗な芝居をつけており、まさに日活撮影所育ちのたまものだ。私の中では、所詮フェイクだと言われてしまうのかもしれないが、演技の方が好きである(もちろん洗練されていることが必須条件だが)。どこかで、浄化され、昇華されて、心置きなく感情移入しやすくする何かがあるのだろう。
家も係累もないマコ(梶)にとっては、自分で決めた掟、自分で自分に課したルールを守ることが、生きていくための唯一のよすがである。仲間を欲し、仲間を想う気持ちもあるが、これは彼女の中では折り合いがつかない。だから彼女は、仲間を裏切ったときには、石をもって投げられるしかなかった。
こういったことを、女優の演技と、エピソードの積み重ねによって描いて見せるのであるから、本作は映画としてなかなか立派なものであると思うよ。
ただラストはやっぱりわからない。数馬(安岡力也。大柄だが、まだ若くて無駄な肉のついてない感じがかっこいい)は、妹・めぐみを射殺してしまう必要なかったのでは? 本シリーズには、定期借地法みたいな、映画をサラ地にして次の監督へバトンタッチしなきゃいけないというルールでもあんのかしら?
80/100
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