[コメント] 黄昏(1981/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
例えば、ノーマンが点けた火がうっかり燃え上ってしまったときのやりとりなど。
「あなたにではなく自分の人生に怒っているのよ」
「まだ自分が吠えていられるって思いたいのよ」
「見かけではなくその人がベストを尽くしているかどうかをよく見極めなくちゃね」
「ケンカ腰でいる時のあなたは魅力的じゃないわよ」
「過去の不満ばかりいって何になるの?」
「その自己中で最低な男は私の夫なのよ!」
大学教授を退官して社会から疎外されているように感じ、衰えていく自分を認めたくないノーマンの気持ちを受け止め代弁する妻エセル。不器用な愛情表現しかできずにいる夫を支えて生きた妻であり母エセルは、全世界の家族の憧れだろう。それはお互いを信頼し労い必要としてきた証なのだ。つがいのアビを老夫婦になぞらえている所も感慨深い。
老人と若者の交流によってお互いが新たな発見をするというありふれたストーリーではあるが、俳優陣の表情がとても良い。「ままならない人生」はこんな風にきれいには終わらないだろうし、フォンダ親子の確執はともかく、夏の終わりに或いは人生の終盤に見ておきたい作品だ。
IMDbによると、ノーマンヘンリー・フォンダが被っていた茶色のフェドーラ帽は、スぺンサー・トレーシーのもので、撮影初日にキャサリン・ヘプバーンからフォンダに贈られたもの。これに感激したフォンダは、映画の中で被った3つの帽子を水彩画で描き、それをヘップバーンにプレゼントしたとのこと。さらにその絵をリトグラフにして200枚作り、映画関係者全員に1枚ずつ配った。それぞれには遠し番号が振られ、フォンダの直筆サインが添えられていた。ヘプバーンはその後の自伝の中で、この絵を脚本家のアーネスト・トンプソンに託したと綴っており、これはフォンダの死後、この絵が彼とトレイシーの思い出になって悲しかったからとも書いているようです。
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