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[コメント] トーチソングトリロジー(1988/米)

『ゲイのジハード』もしくは『ゲイはつらいよ・摩天楼に翔ぶトラジ郎』
G31

ゲイを単に「ゲイだから」という理由で毛嫌いするのは、女性を「女だから」という理由で差別する性差別、「黒人だから」「アジア人だから」「××人だから」という理由で××人を差別する人種差別とまったく同じ、いわれのない偏見で他者を裁断する「差別」にほかならないということに、この映画によって初めて気づかされ、愕然とした。その意味で、自分の人生観とまで言うと大げさだが、物の見方を変えてくれた数少ない映画の一つである。

しかしながら、いかなる生活環境が自分を明確にゲイだと認識する子供を育むのか、これがいまだにわからない。特に母親との確執は、日本の(と、一般化するのが危険なのかもしれないが)母―息子関係からは想像もつかないほど激烈で、いわゆるママ・ボーイではまったくないのである。自分の親に対してそこまできつい口調で罵るのかと、観ているこちらが胸を痛めるほどである。もちろん、どら息子がわがままを通すために声を荒げるのではなく、自分の全存在を賭けて自己の正当性を主張しているのであり、母親もそれを受けて立つのだから、これはホント凄まじい。

映画の中では、何の違いもない、つまり、人様の息子となんら育て方に違いはない、とされていたように思う。実際そんなものかもしれない。しかし最後に観てからでも12年は経つので、今度見るときはその点に注意を払って見れば、何か手掛かりが得られるかな、と思っているのであるが、どうだろう。

90/100(02/07/14記)

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)KADAGIO[*] ボイス母[*]

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