[コメント] 地の涯に生きるもの(1960/日)
良質のセミ・ドキュメンタリーとして興味深く観た。東宝と東映のオープニングが続けて出てくる冒頭は目を疑う。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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あの岩と荒波、東映のオープニングにそっくりだもの。
主題はふたつあったのだろう。ひとつは動物界の弱肉強食で、森繁の無慈悲な最期もまたその環の中に納まったの感慨がある。動物の撮影は、少年と小熊とか、猫を捕獲する鳥とか、ラストの鴉とか、見事なもの。
もうひとつは国後を巡る対ソ関係。「みんなの海」という森繁の素朴な願いは判るが、しかし複雑なものがある。これを敷衍すれば前段のアイヌ人排斥も描かれなくてはならない(国後目梨の蜂起)訳で、いかにも日本人に都合のよい時点から「正史」を編纂しているように見える。これも含めて興味深い。
番小屋でのひと冬の描写がリアル。冬山の山小屋の管理人という話はよくあるが、たいてい二人いる(殺し合いになったりする)。ひとりで過ごさせるとは切実なものだ。草笛光子を橇に乗せて岩山踏破して病院へ運ぼうとする件も心に残る。司葉子は美人過ぎていけない。彼女の件が妙に長いのはスター・システムの弊害だろう。
なお、本編で「知床旅情」は歌われず。他の方のコメントはよく判らない。違うプリントだと歌われたのだろうか。
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