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[コメント] 顔役(1971/日)

全くエスタブリッシング・ショット(空間全体を説明的に見せる画面)を廃した演出。対象にグイグイ肉迫し観客を引っ張っていく。手持ちカメラによるエクストリーム・クローズアップの多用。何が写っているのか、何を写そうとしているのかよく判らないカットもあるのだが、まあ大した迫力、驚くべき緊張感の持続だ。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 しかし豪腕な中にもきめ細かな演出を見せる。特に太地喜和子登場のカットの艶っぽさは出色。彼女の部屋での勝新の主観ショットも素晴らしい。主観ショットへの彼女の出入りのコントロールが今見ても斬新なのだ。

 お話の運びは少々散漫な感が否めなく、山崎努や太地喜和子が早々に退場する使われ方は勿体ないと思えてしまう。しかし、そんなことが帳消しになるぐらい画面の活劇としての強度が勝っている。傑作でしょう。

(評価:★4)

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