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[コメント] REM レム(2000/カナダ=米=仏)

主役に名脇役ジェフ・ダニエルズを起用した点が大きい。あまりにも規模の小さい作品で、そこから生まれる彼の演技(ほぼ一人芝居)に拍手。謎の真相や、睡眠を追い続ける彼の異常心理。排水溝にゴゴゴと吸い込まれそうになる作品。
ナッシュ13

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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名バイプレイヤーだからこそ成せる演技。名俳優ではなく名脇役だからこそ意味のある作品。エドを演じるのは彼であるべきだったんだ、と思うはず。

不眠症が題材ということで『インソムニア』を頭に浮かべると思う。あの作品はアラスカの街を駆け回り、「寝させてくれよ・・」なクマの目立つアル・パチーノが妙にリアルな演技を見せている。対して、この『レム』はラストまでエドは一歩も家を出ることが無い。家の中で不眠症という病気に翻弄される。「寝させてくれ」ではなく「寝れない」。自発的にベッドで潜り込むことは無く、何かと黙々と作業を続ける。妄想が呼んだ結果なのかもしれないが(切られた指など)、これは「寝れない」ではなく「寝ない」の方が正しいかもしれない。非常に不眠症を上手に描いた作品であり、個人的には『インソムニア』よりも好きだ。特に一筆しておきたいのは、現実と妄想の境界線がまるで無いので鑑賞者も混乱してしまうという点である。何が現実で何が妄想か、その時点ではわからない。この映画自体、中心がエドにきているので凄く興味深く鑑賞できる結果になっている。無論、エド以外の人物が主観となっているシーンはない。そして102分間、飽きることはなかった。

ミステリーなのだが、何のことは無い。彼の不眠症により現実と妄想。それが引き起こした彼のドラマである。しかし、ここまで観ている側の興味を引かせて想像を膨らませる映画も珍しい。

(評価:★4)

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