[コメント] 乙女の祈り(1994/英=独=ニュージーランド)
後の『ロード・オブ・ザ・リング』での幻想的映像美を予感させる、少女的空想世界の表現に唸らされる。あの、ただ綺麗で可憐というのではない、奔出する思春期の情動そのままの泥人形的な拙さが、何とも現実感があって良い。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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そして、そうした幻想映像で綴られる、少女たちの自由に運動するリビドーによって構築される、自閉的な世界から、最後、母親殺しの段になると急に、‘現実’が彼女たちの身に降りかかってくる、その辺がまた絶妙というか。息を切らせつつも、娘たちの前を歩き続ける、母。その背中は、まさか自分が娘たちに惨殺されるなどとは露ほども疑ってはおらず、それまでは少女たちの世界を脅かす存在でしかなかった彼女の背中は、何かとても、小さく、弱く見える。「少女たちの母親殺し」、それも実話、というと扇情的な印象を与えがちだけど、これほど哀しい殺人シーンもなかなか無いだろう。
この映画、観たのが結構前なので、僕の脳内で記憶が変換されている可能性も無きにしも非ず、ですが…。
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