[コメント] 雨の御難(1914/米)
オープニングはベンチに座った倦怠期っぽいミドルエイジのカップルのショット。男性(夫)はマック・スウェインだ。彼が右の画面外に歩いて行き、残された女性(妻)が画面左側を見る。すると、噴水の前にいるチャップリンが繋がれて、明らかに視線の交錯する様子が切り返しで表現される。まずこの演出がキャッチする。女性の視線に導かれて登場したチャップリンと女性との距離は10メートル以上はあろうかという感覚だが、これは切り返しだろう。
この後、スウェインら夫婦がホテルの部屋に入る様子とチャップリンが街中のバーへスウィングドアから入る様子がクロスカッティングで繋がれる。バーの内部は割愛されて、へべれけに酔っぱらってバーから出てきたチャップリンは、若い女性を追いかけ、偶然にもスウェインらが入ったホテルに入る。次の見せ場はこのホテルのロビーの場面。画面手前左にカウンターがありホテルマンがいる。画面中央奥には階段が見える装置。この舞台を使って、チャップリンが他の客−脚に大きなギブスをしている男性(怪我人)や女性たち−を巻き込んで暴れ回る。特に画面奥の階段を使ったアクションが見どころだが、これが画面手前から画面奥まで、ほとんどピントの合っているディープフォーカスで撮影されているという点も書いておきたい。
酔っぱらったチャップリンが間違えてスウェインの部屋に入ってしまい、追い出される、というのは想定内だが、さらに、スウェインの妻が夢遊病者で、なぜかチャップリンの部屋に入り、彼のベッドで寝る、という展開になる。本作は全編に亘ってチャップリンとスウェインとのクロスカッティングで構成されていると云ってもいい作品だが、終盤はとても短いカットでのクロスカッティングになり、雨の中のバルコニーに追い出されたチャップリンと路上の警官、銃で撃たれるチャップリンといった高低の視点移動のカッティングも繰り出され、カオスのまゝ収束する。この終盤のリズム変化は面白い!
(評価:)
投票
| このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。