[コメント] メトロポリス(1927/独)
単純なプロレタリアものかと思えばそうでもない。説明を省いているわけでも支離滅裂なわけでもなく、純粋に厚みのある内容なのだと思う。
画面に映る人間の数は多いもののストーリーを動かす人物が少ない。主要人物と脇役の差が激しいのだ。1シーンもかなり長めに撮ってある。同じ何も起きないシーンでも、こういった作りであれば余計間延びする。状況をかきまわしてくれる人物が出現しそうにない雰囲気が漂っているからだ。
未来都市のイメージには言葉もない。リマスターされた鮮明な映像で鑑賞しようと何ら馬脚を現すことがない。バットマンのジョーカーを小奇麗にしたような中性的メイクは未来人に対する抽象的イメージの具象化か。
観念的映像である目玉をいくつも並べた場面は印象的。シュルレアリスムの素養ある監督かと思わせる迫力が満ちている。凡人にはちょっとまね出来ない想像力ではないか。
視覚的に描かれた「階層社会」はウェルズのタイムマシンに登場済みだ。描き方もウェルズのほうが面白いと感じたため、さほど新鮮と思わなかった。
SFに興味があるならば絶対に見るべき素晴らしい作品だ・・・間違ってもスターウォーズを期待してはいけないが。
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