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[コメント] 涙を、獅子のたて髪に(1962/日)

従うとは楽なことです。だけどそのツケはいつか…
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 松竹ヌーヴェル・ヴァーグの一本で、和製『波止場』(1954)と言った感じの作品だが、『波止場』とは違い、最後まで主人公は救われないで終わるところが特徴といえるか。

 物語そのものはメロドラマ風で、特に語るべき所はあまり無いのだが、藤木孝演じる主人公サブの置かれている設定が凄い。

 サブは根は悪くないのだが、そのお人好しさ加減で良いように使われ、それに何の疑問も持ってなかった。だが、こういう人間が一番ワリを食うのが現実世界というものだ。彼にとって真実を知ることは苦痛でしかなかったのに、否応なしに現実を見せつけられ、やってしまったことに後悔しか残らない。それで何度も目を覚まさせられ、苦悩する…良かれ悪かれ、これって私自身の姿に他ならないのでは?と思うと、ますます切なくなってしまう。

 主体的に生きるって何だろう?辛い現実から目を背けて、誰かに従っていればそれで安心だ。と思っているならば、結局こういう風になってしまうのか…辛い話だ。

 本作は脚本の一人として寺山修司が参加しており、陰鬱な内容ながら、パートパートに派手な演出がなされているのはやっぱりそのお陰だろうか?藤木孝が絶叫するロカビリー「地獄の恋人」は今聴いてもぞくっとするほどの演出だった。

(評価:★3)

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